税金
法人の決算月から考える、本質的な節税戦略
会社の節税対策というと、多くの経営者は「経費を増やすこと」や「税額控除の活用」をまず思い浮かべるかもしれません。しかし、実はそれ以前の段階で、もっと根本的かつ戦略的に節税に繋がる方法が存在します。
それが『決算月の見直し』です。
決算月は、法人が自由に決められるにもかかわらず、多くの企業では深く考えられずに設定されているのが現状です。このコラムでは、決算月を戦略的に設計することで生まれる節税効果や、その考え方のポイントを実例を交えて解説していきます。
1. はじめに|決算月の設定は“企業戦略”の一部です
法人の決算月は、実は経営戦略の一部として機能させることができます。多くの中小企業では「3月決算」「9月決算」といった一般的なスケジュールで設定されていることが多いですが、それが自社にとって最適かどうかまで考えられているケースは少数です。
決算月を見直すことで、税金対策や資金活用、経営判断の質が大きく変わります。本コラムでは、「節税」をテーマに、決算月の設定がなぜ重要なのか、そしてどう設計すればよいのかを掘り下げていきます。
2. 決算月は自由に設定・変更できる
法人は、設立時に自由に決算月を設定することができます。1月〜12月の中から任意に選べ、かつ期首から1年以内の期間であればOKという制度です。また、一度決めた決算月も、定款の内容変更と届出を行えばいつでも変更可能です。
変更の手続きも複雑ではなく、定款変更を行い、税務署と地方自治体へ「異動届出書」を提出するだけです。それなのに、実際には「なんとなく3月」「年末でキリがいいから12月」など、習慣的・感覚的に決めてしまっているケースが少なくありません。
3. 決算月が節税に影響する“3つの理由”
【理由①:節税準備のための“時間”が変わる】
決算直前に「今期利益が出そうだから、何か経費を使わないと」と焦る企業も多くあります。しかし、それでは時間が足りず、内容も精査されないまま“無駄な経費”が積み重なることになります。
【理由②:未来に活きる支出を検討する余裕が生まれる】
利益が出るタイミングを“期首”にすれば、そこから1年間かけて節税戦略を立てることができます。広告・採用・DX投資など「未来につながる支出」を計画的に行えば、結果的に節税になります。
【理由③:決算書の見栄えも良くなる】
決算月を事業の閑散期に設定すれば、在庫や売掛金の金額が比較的減少している数値で決算書が作成されるため、財務数値の見え方が安定し、銀行や外部関係者にも良い印象を与える決算書が作れます。
4. 節税の本質は「未来への投資を考える時間」を持てること
節税というと「経費を増やすこと」と捉える人もいますが、それは誤解です。
本質的な節税とは、「意味のある支出」で「税額をコントロール」することです。無駄遣いをして税金を減らすのではなく、未来の利益を生む支出に資金を回すことこそが、価値ある節税です。
たとえば:
– 優秀な人材の採用・教育費
– 長期的に利益を生む設備投資
– ブランド構築のための広告宣伝費
– ITツールによる業務効率化
これらは一朝一夕では判断できないもの。だからこそ、事業年度の“スタート時点”で利益を把握できる設計が重要なのです。
5. 理想的な決算月の選び方|利益の出る月を「期首」にせよ
経営者としての“思考の余裕”を確保するには、決算月の設計がカギとなります。
【基本ルール】
→ 忙しくて儲かる月の「翌月」を”期首”にする
→ その1年後を決算月に設定する
そうすることで、ピーク期に稼いだ利益を冷静に分析し、次の決算までに投資すべき先を検討する時間が生まれます。
【決算月設定の例】
– 12月〜1月繁忙 → 12月期首 → 11月決算
– 9月〜10月繁忙 → 9月期首 → 8月決算
どの月が適しているかは、売上と利益の傾向から逆算しましょう。
6. 決算期変更の手続きと注意点
決算月を変更する場合の基本的な流れは以下の通りです
– 株主総会の開催及び決算期変更の議案承認
– 株主総会議事録作成
– 定款の変更
– 税務署:異動届出書の提出
– 都道府県・市区町村の異動届出書の提出
また、決算期変更直後は、役員報酬の再設定をすることもできますので、利益実態のバランスを見ながら適切な役員報酬設定をし直すことも可能です。
適切な役員報酬額については下記URL先のコラムをご確認ください。
https://matchpoints.jp/blog/expenses/200/
注意点としては、金融機関と融資取引がある場合には、事前に決算期変更のお知らせを金融機関へ行なっておかなければ、決算書の提出などのタイミングが遅れることになり、印象が悪くなってしまう可能性がありますので、必ず事前のご相談をされるようオススメします。
7. まとめ|未来にお金が残る節税は、決算月の最適化から始まる
決算月を適切に設定することで、経営者は“時間”という最大の資源を得ることができます。
結果として:
– 税理士と早めに相談できる
– 無駄な経費ではなく、計画的な未来投資ができる
– 金融機関などの外部機関にも良い印象の決算書が出せる
節税=単純な経費の支出 ではなく、節税=戦略設計。その第一歩が「決算月の見直し」なのです。
御社にとって本当にふさわしい決算月は、今のままでしょうか?
今こそ、見直す価値があるかもしれません。
決算月の設定について判断に迷いましたら、ぜひお近くの税理士へご相談ください。
※本コラムは2025年10月時点の法令を基に執筆しております。
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